さっき「飲食業や小売店では現金商売が多いから、売掛債権はあまり関係ない」って言ったよね。でも飲食店って、商品自体は直接お客さんに売るから問題ないけど、仕入れのときは売掛金になるんじゃないのかな?
そう言われてみると、そうかもしれないわね……。
さっきの印刷会社の二代目さんを含めて、売掛債権が焦げ付くのを心配している経営者の方って結構いるのよね。
それでちょっと思ったんだけど、そういった売掛債権の補償をしてくれる保険はないのかな?
売掛債権の補償なら、タイムリーな情報があるわよ。法人会の中小企業向けには中小企業向け貸倒れ保障制度というものがあるのだけれど、最近それに関連した新しい保険取引信用保険という保険が売り出されたの。
売掛債権の補償をしてくれる保険なんてあったんだ。
ついさっきまで、保険会社の担当者が来ていて、その取引信用保険の説明を聞いたばかりよ。
ほんとにグットタイミングだー。
今までにも売掛債権の補償をしてくれる保険があったことは知っていたの。けれど、保険料が年間30万円以上だったり、運送業者や建設業者は保険契約ができなかったり……と法人会の中小企業向けではなかったのよ。
そうなんだー。それじゃ法人会に入っていない企業は、取引信用保険には加入できないの?
そんなことはないわ。法人会に加入していない中小企業でも取引信用保険に加入することはできるわ。でも運送業者や建設業者は取引信用保険の引受けには規制があるの。また、最低保険料も高いということもあって、やはり法人会に加入している企業の方が条件が良いみたい。
なるほどね。それじゃ、取引信用保険って具体的にどんな保険なのかをもう少し詳しく教えて。
取引先の企業が倒産などにより売掛金・受取手形といった営業債権が回収できなくなった時に補償してくれる保険ね。分かりやすく言うと、いわゆる焦げ付きが発生した場合に、保険金として一定部分をカバーする保険が取引信用保険なのよ。
じゃあ、取引信用保険っていう保険は、取引先が倒産した時しか保険が下りないってことなのかな?
そんなことはないわ。次のページでは取引信用保険でどんな場合に保険がおりるかの条件について説明するわね。