ごちそうさまー。このケーキ美味しかったわ。
今度みかちゃんに会ったら、ちゃんと「ごちそうさま」って言っておきなさいね。
はいはい。しかし、ちびっこって美味しいケーキを探してくるのが上手だよねー。
私もそう思うわ。あやかも、たまにはお土産くらい持って来たらどう?
もー、ちびっこのせいでやぶへびじゃん。まあ、そんなことよりさ、さっきの火災保険の話(第40回:火災保険入門)の続きにしようよ。
仕方ないわね。それじゃ火災保険で保険金が支払われないケースについていろいろお話ししようかしら。
でもさ「火災保険に入っているのに何かあったときに保険金が出ない」なんて、なんかおかしくない?それにさ、普通は保険金払ってくれないことがあるって知ってる人の方が少ないんじゃないの?
そうかもしれないわね。いざ家が被害に遭った時に慌てて保険会社のせいにしても遅いから、良く聞いておいてちょうだい。
オッケー。早速だけど、第40回:火災保険入門で話してた「水害でも保険金がおりる火災保険と下りない火災保険がある」っていうことはどういうこと?
火災保険には、いくつか種類があるのはさっきも話したわね。住宅用の火災保険の種類を簡単に説明すると、シンプルな補償をする住宅火災保険、様々なリスクに対し総合的に補償する住宅総合保険と分けられるわ。
それで、住宅火災保険と住宅総合保険のどっちが水害で保険が下りるの?総合的に補償するって言うくらいだから住宅総合保険っぽいけど。
あやかの想像通り、住宅総合保険が水害の補償が付いている火災保険になるの。住宅総合保険では、台風や洪水、高潮などで損害額が保険金額の30%以上になった場合が支払いの対象になっているの。そして水災の被害にあった時に補償される金額は、保険金額の70%が限度と決まっているわ。
じゃあさ、例えば3,000万円の火災保険に入っていたとして、もしも家が台風や高波で流されてしまったとするよね。保険金額3,000万円の70%だから、2,100万円までしか補償されないってこと?
単純に限度額を考えるとするなら、あやかの言う通り3,000万円×70%=2,100万円ということになるわね。
えー、なんか損してるっぽい感じがするんだけどー!なんで水害だと70%しか補償してくれないのよ?
水害というものは一度発生すると、被害が広範囲に広がり、巨額の損害になってしまうことが多いの。もしも加入者全員に保険金の全額を支払ってしまうと、保険会社は潰れかねないわよね。そのため、水害の保険金支払いについては制限を付けているという慣例があるの。
ふーん。ま、分からなくはないけどさ。ついでに、水害のことでもうひとつ言ってた、「床下浸水は補償されない」ってのはどういうこと?
火災保険(住宅総合保険)の浸水の補償について、保険会社では「床上浸水により建物または家財が損害を受けた場合補償する」という決まりになっているの。国内旅行保険入門のおまけページでも少し触れたことなのだけど、床上浸水の場合は、保険価額の15%以上30%未満の損害だと、保険金額の10%の補償で(200万円が限度)保険価額が15%未満だと保険金額の5%(100万円が限度)が補償の限度ということね。下の表を見てもらえば、少しわかりやすいと思うわ。
住宅の損害額 | 支払われる保険金額 |
---|---|
保険価額の15%〜30%未満 | 保険金額×10%(200万円を限度とする) |
保険価額の15%未満 | 保険金額×5%(100万円を限度とする) |
へー。じゃあさ、もし集中豪雨で床上まで浸水しちゃって、保険価額の20%の損害が出たとするじゃん。例えば3,000万円の火災保険に入っていた場合は、実際の損害額は3,000万円の20%だから600万円よね。そんで、支払われるのは保険金額の10%で300万円ってことよね。
うーん、良い線までは行ってるのだけれど、大事なことを忘れているわ。保険価額の20%(15%以上30%未満)の損害の場合は、「保険金額の10%」の補償となるけれど、「200万円が限度」となっているから200万円が補償額ということになるのよ。
あやかの挙げた例の「加入している火災保険(住宅総合保険)が3,000万円の保険価額の時に、床上浸水によって保険価額の20%の損害を被った場合」の支払われる保険金額を試算すると、以下のようになります。
住宅の損害額 | 支払われる保険金額 |
---|---|
「保険価額の20%」の損害を受けた場合は「保険価額の15%〜30%未満」に該当 | 保険金額×10%(200万円を限度) |
3,000万円(保険価額)×20%(損害程度)=600万円の損害額 | 計算上は「3,000万円(保険金額)×10%=300万円」が支払われる保険金額となるが、限度は200万円。 つまり支払われる保険金額は200万円となる。 |
あー、そっか。200万円の限度額を忘れてたー。水害に遭ったときって、補償の額は少ないし、床下浸水じゃ保険下りないとなると、一戸建住宅の人は大変よねー。
さっきも火災保険にはいくつか種類があるって言ったわよね。もうひとつの住宅火災保険の場合は、水害については、まるっきり担保されていないの。もしも水害に遭ってしまった場合は、お手上げ状態になるから、気をつけないといけないわ。
ふーん。火災保険の種類によっては、全然補償されない損害があるってことね。覚えておくよ。