労災保険では「業務上の事由、または通勤途上で発生した」ケガの場合は、労災保険の給付対象になるって、さっき言ったわよね。あやかの話の場合だと、会社帰りに寄り道をして飲みに行ったでしょう。それは労災保険の対象である「業務上」にも「通勤途上」にも当てはまらないのよ。
えー!?でも、会社の帰りに飲みに行ったんだよ?ってことはさ、「通勤途上」っぽいじゃん!
労災保険で言う「通勤途上」に当てはまる寄り道の例を挙げると、「会社の帰り道に日常で使う生活用品を購入してから自宅へ帰った場合」などね。その場合は通勤災害として認められるのよ。あやかの場合は、通勤から中断した行為、すなわち「通勤の経路上で通勤と関係のない行為」を行なったわけだから、労災保険の対象外となるのよ。
なーんだ。じゃあ会社帰りに酔っぱらってケガしたのは労災とは関係ないってことね。
そういう事ね。もし、あやかが飲みに行かずにまっすぐ帰っている途中で同じケガをしたとしたら、労災保険で治療に必要な額は全額支給されていたわ。自己負担額は初診料の200円だけだから、労災保険が使える場合は会社に申請してみるといいわね。つまり、会社勤めをしている人は、就業中及び通勤途上でのケガや疾病は労災保険で、それ以外のケガなどは健康保険を使う事になるのよ。
なるほどねー。そういえば、雇用保険は、会社と従業員の両方で保険料を払ってるけど、労災保険って誰が保険料払ってるの?
労災保険の保険料は、雇用保険と違って事業主が全額負担しているわ。それに原則として、常用労働者、日雇い労働者、パートタイマー、アルバイトなど名称・雇用形態にかかわらず、労働の対価として賃金を受ける労働者が全て対象となるのよ。
じゃあさ、姉さんも労災保険に入ってるってこと?
あら、良い質問ね。実はね、労災保険というのは本来「労働者の業務災害への補償を目的とした制度」なので、社長・役員などの事業主、自営業者、家族従業者は原則として加入出来ないのよ。でも、中小事業主や、大工・個人タクシー運転手などのいわゆる一人親方などは、その業務の実態、災害の発生状況からみて、一般労働者と同様に業務に従事しているから、一定の要件を満たせば特別加入する事が出来るようになっているの。
ふーん。なんだか保険っていうのは、生活していく中で欠かせない物になってきてる感じ?
そうよ、そうなのよ!だから私みたいな人がいるのよ。だって最近は色んな場面で保険の必要性を感じるわ。雇用保険や今回話した労災保険、厚生年金保険などの企業の保険はもちろんのこと、自分自身のために入る医療保険や傷害保険、家族のために入る終身保険や収入保障保険、車を運転する人は事故に備えて自動車保険、我が家を守る為の火災保険、第三者に損害を与えてしまった場合の個人賠償責任保険、そして、これからより必要となる個人年金保険など言い出したきりが無いわ。
姉さん熱いねー、ちょっと語りすぎ。
あら、ごめんなさいね。でも、ファイナンシャルプランナーってやりがいのある仕事だからつい熱くなっちゃうのよ。
まあ、そこが姉さんの良いとこなんだけどさ。なんか、お腹空いてきちゃったなー。これから姉さんちに行って良い?
別に良いけど、急だからたいした料理は作れないわよ。それでもいい?
全然良いよ!姉さんの作った料理何でも美味しいからさ。じゃあ、あたしワイン買ってくるから一緒に飲もうよ。
じゃあ、事務所片付けるから駅前の酒屋さんで適当にワイン見つくろってきてちょうだい。その間に帰る準備しておくから、よろしくね。
オッケー!今日は飲んじゃうぞー!