雇用保険入門その１(2)

それじゃ、まずは失業給付の基本手当から説明するわね。基本手当というのは雇用保険の被保険者が、定年・倒産・自己都合等により離職して「失業の状態」にある場合に、失業中の生活を心配しないで、新しい仕事を探して早く再就職できるように支給される手当のことよ。失業の状態というのは再就職の意思があって就職できる能力があるのに、就職活動をしても就業できない状態を指すわ。

そういうことね。基本手当を受給できる人は一般被保険者と短時間労働被保険者の２種類に分類されるのよ。一般被保険者というのは簡単に言うと「フルタイムで働いている人」のことね。１週間の労働時間が30時間以上ならアルバイトでも一般被保険者となるわ。短時間労働被保険者は簡単に言うと「パートタイマーやアルバイトで働いてた人」ね。厳密に言うと１週間の労働時間が20時間以上30時間未満で、１年以上引き続き雇用されることが見込まれる人を指すわ。

ええ。それと、この基本手当の受給資格者のうちに特定受給資格者となる人もいるわ。これは倒産・解雇等により再就職の準備をする時間的余裕なく離職を余儀なくされた受給資格者のことを言うの。そういった特別な事情のある離職者だから特定受給資格者は一般の離職者に比べて手厚い給付日数となる場合があるのよ。

所定給付日数、つまり雇用保険の基本手当の受給期間というのは、原則として離職した日の翌日から１年間よ。具体的には、離職日における年齢や、雇用保険の被保険者であった期間、離職の理由などによって90日〜360日の間で決定されるわ。詳しくはハローワークインターネットサービス「雇用保険の基本手当の所定給付日数」を見てね。最新の一覧表があるわ。

もう。３ヶ月フラフラしてる人に給付されるお金じゃないのよ？再就職活動中の生活に差し支えないように支給される手当なんだから。

当然よ！それは不正受給になるわ！偽りや不正行為で基本手当等を受けたり受けようとした場合には、以後これらの基本手当等を受けることができなくなるだけでなく、その返還を命ぜられるのよ。また、原則として、返還を命ぜられた不正受給金額とは別に直接不正の行為により支給を受けた額の２倍相当額以下の金額の納付を命ぜられることになるわ。

あやかが言ったような、実際には行っていない求職活動を失業認定申告書に実績として記すなど嘘の申告を行った場合や、アルバイトや研修期間等として就労したにもかかわらず嘘の申告を行った場合、また、定年後に「積極的に就職しようとする気持ち」や「身体的・環境的にいつでも就職できる能力」がなくしばらく失業給付を受け、受給終了直後に年金を受給しようと考えている人が嘘の申告を行った場合など、不正受給に当てはまるのよ。雇用保険は嘘をついて貰うお金じゃないから当然よ。

雇用保険で受給できる１日当たりの金額を基本手当日額というの。基本手当日額は、原則として離職した日の直前の６か月に毎月決まって支払われた賃金（賞与等は除く）の合計を180で割って算出した金額（賃金日額）のおよそ50〜80％となっているわ。60歳〜64歳の方の場合は45〜80％よ。この率は賃金の低い人ほど高い率となっているの。また、基本手当日額は年齢区分ごとにその上限額が定められていて、平成17年８月１日現在の基本手当日額は下の表を見てね。

それはそうよ。お友達に、転職するなら雇用保険を貰いながら早く就職活動をすることを薦めてあげるといいわ。就職促進給付が受けられる場合があるから。

でも今日はこれから、お客様のところへ行かなきゃ行けないの。１時間くらいで戻るけど、あやかはどうする？

ええ、いいわよ。じゃあ、急いで戻るわね。あ、電話には出なくていいからね。ひとみなら任せても構わないけど、あやかは相手にケンカ売りそうだし……。

はいはい。

……それじゃ、行ってくるわね。