こんばんはー。姉さんいるー?
あら、あやか、いらっしゃい。ゴールデンウィークは楽しかったわね。久しぶりにあんなに飲んだわ。
あたしもそうよ。やっぱり姉さん達と飲むと楽しくて飲み過ぎちゃうのよね。また企画してよね。
今度はお盆で実家に帰ったときかしらね。それより今日はどうしたのかしら?
そうそう、ちょっと聞きたい事があってね。会社終わってからすっ飛んできたのよ。
そんなに急ぐ話なの?
うん、まあね。あのさ、失業保険についてちょっと教えてくれる?
あら、あやか、転職を考えているの?この間はそんな事言ってなかったじゃない。まさか、お花屋さん!?
あはは、やだなー姉さん、そんな訳ないじゃん。ちょっと友達が転職考えていてね、アドバイス出来たらなーと思って。
あら、そうなの?まあ、いいわ。じゃあお茶入れるからそこに座って待ってて。
オーケー。
あやかは失業保険って言っているけど、今は失業保険とは言わないで雇用保険と言うのよ。雇用保険っていうのは国の保険制度で、原則として任意ではなく強制適用されているから、従業員を雇っている会社は全て入っているはずよ。もちろんあやかの会社も入っているわよ。
ふーん、前と呼び方が変わったんだ。でも雇用保険の方が聞こえは良いよね。失業保険じゃそのまんまだもんね。
ふふふ、そうね。雇用保険の役割は「失業」という保険事故に対して失業給付などを行なうために設けられた制度なのだけど、最近では失業時だけでなく在職給付の制度も設けられているのよ。
何それ、全然わかんない。
そうね、簡単に言えば、以前の雇用保険は失業保険という名の通り、仕事を辞めた人にだけ給付されていた制度だけど、最近では、従業員の能力開発の取り組みをバックアップしてくれたり、より再就職をしやすくするためのお手伝いをしてくれる制度になったの。さっき言った失業給付というのは失業した人が受け取る給付で、在職給付というのは就業中の人でも受け取れる給付のことよ。
へえー、今は失業したから受け取るだけじゃないんだ。じゃあ、今働いている人でも雇用保険が貰えるってこと?
そう言うことになるわね。失業した人が受け取るのが失業給付の基本手当のことで、働いている人でも受け取れる雇用保険が在職給付の就職促進給付、教育訓練給付、雇用継続給付ということね。
ふーん、一口に雇用保険って言っても色々あるんだー。早速だけどさ、もし仕事を辞めたとしたらいくらもらえるの?
もう、あやかはせっかちね。今、順番に説明するから聞いてなさい。
はあーい。
まずは、雇用保険を受給するための条件があるのよ。1つ目は、離職によって被保険者資格の喪失の認定を受けた事。すなわち会社を辞めたという事ね。2つ目は、失業している事。これは労働の意思・能力があるのに就職出来ない状態のことを言うわ。そして3つ目は、離職の日以前1年間に、被保険者期間が通算して6ヶ月以上ある事。でも、働いていた会社で雇用保険を支払っていなかった場合は対象外よ。
えー、雇用保険払ってない会社ってあるの?
そうね、例えば、雇用保険日雇い労働被保険者とならない日雇い労働者や、4ヶ月以内の期間を予定して行なわれる季節的事業に雇用される人、昼間アルバイトおよび臨時内職的に雇用される人などは雇用保険の適用はないのよ。後は、あくまでも雇用労働者を対象とするものだから、会社の取締役や監査役などは被保険者とはならないわ。
じゃあさ、雇用保険の保険料って一体誰が払ってるんだろ?
会社と被保険者の両方で払っているわ。雇用保険の保険料率は1.95%で事業主負担は1.15%、被保険者負担は0.8%よ。
それってさ、あたしも払ってるってことじゃん!
お給料明細を見ると雇用保険料が引かれているでしょ。
あれー、そんなの書いてあったっけ?まあいっか、明細に穴が空くほどじっくり見たところで給料が増える訳でもないしさー。
でも、1ヶ月一生懸命働いて、毎月きちんとお給料がもらえるなんてありがたい事よ。私の場合は自営業だから、何だかんだと出費が多いし、毎月固定の金額がもらえる訳でもないから。
良く言うよー。だってあたしより稼いでるんじゃない。この間通帳チラッとみたけど0の数が増えてたじゃん。
あやかっ!あなた人の通帳勝手に……いつ見たのよ!
いやだな〜、この間飲んだとき姉さんが見せたんじゃない。「お金は裏切らないわ。」なんて言いながらさ……。
……そっ、そうだったっけ。まあ、いいわ。でも私はあやかの倍は働いているもの。当たり前でしょ。
まあね。姉さんの場合は今のうちに小銭を貯めて、将来若い彼を見つけて、老後の介護を頼んだら?
あやかっ!もう、相談に乗ってあげないからね。
ごめんごめん。も、もう言わないから許してー。
仕方ないわね、話を戻すわよ。