損害保険の歴史(1)

損害保険の歴史(1/2)

みか(喜ぶ)

たまきさ〜ん、約束通りにお団子食べにきたよ〜。

たまき(通常)

いらっしゃい。そろそろみかちゃんが来る頃だと思って待っていたわ。

みか(驚く)

え〜。なんでみかが来る時間だって思ってたの?

たまき(喜ぶ)

だって、もうすぐ3時になるからよ。ほら、3時はおやつの時間でしょ。

みか(通常)

みかの考えはお見通しなんだな〜。それよりたまきさん、柴又帝釈天のお団子は?

たまき(ウインク)

はいはい、今出すから座って待っていて。

みか(喜ぶ)

は〜い!

たまき(通常)

ところで、みかちゃん。今日はお団子を食べに来たの?

みか(怒る)

そんなことないよ〜。今日はお団子食べながら損害保険の歴史を教えてくれるって約束だったでしょ。ちゃんと覚えてるもん。前の生命保険の歴史の時は、とらやのようかんだったけど、柴又帝釈天のお団子屋さんにも歴史がありそうな感じがするね。

たまき(説明)

そうね。柴又帝釈天というと、映画「男はつらいよ」シリーズで寅さんの実家として登場する「くるまや」のお団子が有名だけど、実際には「くるまや」というお店はないみたいね。

みか(通常)

ふ〜ん、でもお団子屋さんはいっぱいあるんだよね?

たまき(通常)

もちろんお団子屋さんは何軒もあるわ。その中には「くるまや」のモデルになったお店もあるわよ。

みか(疑問)

柴又には寅さんみたいな人っているのかな〜?

たまき(困る)

どうでしょうね。たまに週末なんかは、寅さんの格好をした人が歩いているみたいだけれど。

みか(驚く)

え〜、そうなの?みかも見てみた〜い。

たまき(ウインク)

それじゃ、今度一緒に寅さんを探しに行ってみる?

みか(喜ぶ)

わ〜い、楽しみ〜!それにしても、このお団子とっても美味しいね。

たまき(喜ぶ)

そうね。やっぱり老舗と言うだけあって美味しいわね。

みか(うっ)

あ、老舗で思い出したけど、今日は損害保険はどういう歴史で出来たのかっていうお勉強をするんだったよね。

たまき(通常)

損害保険の考え方は、かなり古くからあったみたいなの。

みか(疑問)

古いって、いつ頃からなのかな?みか、全然想像つかないよ〜。

たまき(説明)

元となる考え方の発祥は紀元前2,000年頃までさかのぼるわね。古代バビロニアでは遠方の国々との交易を行う際、物資の運搬を旅商人に頼んでいたの。運搬を代行する旅商人の中には物資を持ち逃げする悪い商人もいたのよ。依頼していたバビロニア人たちは物資の持ち逃げを防ぐ為に、仕事が終るまで旅商人の妻子や財産を預かっていたという話があるわ。物資の代わりにその人の大切なものを担保に取るという考え方で、一種の保険とも言えるわね。

みか(驚く)

そんな大昔でも悪い人っていたんだ〜。奥さんや財産を取られちゃうなら旅商人も逃げたりできないもんね。

たまき(説明)

その後、古代ギリシャ時代の海上輸送では、海賊に襲われたり、嵐で船が沈没したりという海難被害に遭うことがしばしばあったそうよ。そういった予期しない海難に巻き込まれた場合、船と乗組員を守る為に、やむを得ず積荷を海に捨てる事があったの。捨てた積荷の損害は荷主と船主で負担をするという習慣が生まれたのよ。

みか(うっ)

へ〜。それじゃ荷物の持ち主も船の持ち主もしょっちゅう積荷の損害が出てたってことだよね?みかがその時代の人だったら、「そんな事が起きた時用の保険があったら良いのに」って思うな〜。

たまき(通常)

そういったことが損害保険の元となる考え方が生まれるきっかけになったようね。紀元前4世紀には、地中海で海上輸送で貿易を行っていた商人の間で「冒険貸借」というシステムができたの。

みか(疑問)

「ぼうけんたいしゃく」ってどういうしくみだったの?

たまき(説明)

貿易商が船や積荷を担保にして金融業者から融資を受けるというシステムよ。もしも船が海難事故に遭って貿易が成功しなかった場合は融資を受けたお金は返済しなくても良いけれど、無事に航海が済んで貿易が成功した場合は借りたお金に利子を付けて返済するという金銭貸借の制度だったのよ。

みか(納得)

損害保険がなかった昔の人もいろんなことを考えてたんだね〜。感心しちゃうよ。

たまき(通常)

しばらくすると「冒険貸借」はなくなってしまうのだけれど、後にイタリアで本格的な海上保険制度が誕生して、スペイン、オランダ、フランス、イギリスへと伝わって、以後はイギリスのロンドンを中心としてどんどん発展していくことになるの。

みか(通常)

う〜ん、「文明開化の音がする」って感じだね。それっていつ頃の話なのかな?

たまき(説明)

だいぶ時代は進んで17世紀頃の話になるわね。当時の海上保険の引き受けは全て個人が行っていて、巨額の保険の引き受けの場合は共同で行っていたのよ。その頃に海上保険を専業とする保険業者が出現したわ。ロンドンの港町にあったとあるコーヒーショップに保険業者が集まっていて、情報交換の場となっていたの。店主は海運貿易に関する様々な情報を発行するサービスを行い、保険業者に便宜を図ったわ。そのお店は以後、海上保険引き受けの場として発展し、後に会員組織の保険組合となったのよ。

みか(疑問)

へ〜。だんだんと今の保険みたいになってきたね。ところで日本で損害保険が始まったのはいつごろからなのかな?

たまき(ウインク)

日本での損害保険の始まり次のページで説明するわね。みかちゃんの得意な日本史のお話になってくるから楽しみにしておいてね。

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