姉さん、こんばんは。
あら、あやか。いらっしゃい。
うわっ。姉さん忙しそうね。
ええ、来月は年度末でしょ。決算時期の企業が多くて依頼が多いのよ。この時期になるとね、中小企業の社長さんは節税対策や新入社員の福利厚生についてなど、色々とあるのよ。
ふーん。姉さんでも忙しい時期ってあるのねー。
よけいなお世話よ!それより、今日はどうしたの?
この間話した後輩のお見舞いの帰りなんだ。それで、自動車保険についてもう少し詳しく教えて貰おうかなーなんて思って寄ったんだけど。時間……なさそうね?
しょうがないわね。まあ、ちょっとぐらいなら付き合ってあげるわ。
姉さんありがと。じゃ、早速なんだけどさ、自動車事故で相手が飲酒運転だった時って被害者には保険は下りないんだよね。それと、車検切れで自賠責保険に入っていない場合に事故を起こした場合や無免許の場合も当然だめだよね。
実はそんなことは無いのよ。ほとんどの人があやかと同じように思っているみたいだけれど、酒気帯び・酒酔い状態での運転、いわゆる飲酒運転の場合でも保険金は支払われるわ。
えー、本当なの?
本当よ。また、無免許運転や無保険者が加害者となった場合でも、被害者は補償されるのよ。
でも、飲酒運転の場合は入院費や治療費の負担が免責条項になるって聞いたことがあるんだけど、違うの?
それはね、政府で自動車損害賠償保障事業というのを行なっているの。ひき逃げ事故の場合や無保険者にひかれた場合は、被害者は政府の保障事業に請求すれば補償を受けられるというものよ。ちなみに、支払限度額は自賠責と同じで、国内の損害保険会社が窓口になっているわよ。
へー、それは初耳だな。あ、もうひとつ質問。あたしは任意保険の補償の範囲で対人賠償は無制限に入ってるけど、仮に被害者を死亡させた場合の賠償金額っていくらくらいになるの?
被害者の方の年齢や職業などによって認定金額は違ってくるわね。過去の判決例を見ると平成10年3月19日判決年、男20歳大学生、後遺症で2億6,548万円というのがあるし、古い判決でも昭和51年9月13日判決年、男57歳画家、死亡で3億8,719万円という判決があるわ。もしも複数の人を死傷させてしまった場合も考えると無制限じゃないと怖いわね。
相手の職業とかで結構幅広く変わってくるもんなのね。じゃあさ、対物も無制限で入っているけど、こっちも事故によっては対人みたいに結構な金額になったりするの?
対物は自賠責では補償されないというのは前にも話したわね。これも判例を見てみると、平成8年7月17日判決年、衝突した大型トラックがパチンコ店に突入した事故で1億3,450万円というのがあるわね。こういった店舗へぶつかった事故の場合は、店舗そのものの賠償や商品の賠償だけでなく、お店の休業損害なども賠償しなくてはならないから多額の賠償金になってしまうわ。また、車対車の事故であれば車の損害で済むけれど、その車が爆発物を積載した車で、衝突によって周囲に類焼した場合なんかはいくらぐらいになるか分からないわね。どんな事故に遭うかなんてその時になってみないとわからないものよ。
へー、そうなんだ。やっぱり、対人も対物も無制限じゃなきゃダメね。対人と対物の賠償金は分かったわ。ついでに任意保険での他の補償範囲も教えて。
そうね、知っておいた方がいいわね。まずは自動車保険の保険一覧を見てちょうだい。
対人賠償保険と対物賠償保険はさっき説明した通りよ。自損事故保険というのは自分のミスで自分自身や搭乗者が死傷した場合、自賠責保険では補償の対象にならないわけだから、この自損事故保険で払って貰えるの。同時に、搭乗者傷害保険も一緒に請求出来るわ。
無保険者傷害保険は、相手が任意保険に入っていない人の車だった場合に役立つ保険でしょ?
その通りよ。それだけじゃなくて、この保険に入っている契約者や、契約者の家族が歩行中や他の車に乗っている場合も補償されるのよ。
それってすごいじゃん。ますます、任意保険には入っていた方がいいってことじゃない。