次は確定申告書の書き方だよね。えっと、収入から必要経費を差し引いて所得金額を出すんだよね、確か。
あら、ちゃんと覚えているじゃない。その通りよ。経費は費目別に分けて収支内訳書の用紙に記入するのよ。その際、旅費交通費や通信費・広告宣伝費・消耗品費などは、合計した金額を記入すればいいのだけれど、減価償却資産(車両や建物・機械など)は耐用年数表を参考にして、本年分の必要経費算入額を計算するのよ。だんだん思い出してきたかしら。
なんとなく、だけどね。それからどうするんだっけ?
それが出来たらひとみの言うように、収入金額から売上原価、経費を差し引いて所得金額を出すのよ。
そこから控除対象になるものも何かあったよね。
そうね、基本的なものは金額が決まっているわよ。例えば、配偶者控除や扶養控除・基礎控除などが当てはまるわ。社会保険料控除は、国民健康保険料や国民年金保険料、介護保険料など支払った金額の合計をそのまま記入すればいいのよ。これは全額控除になるの。
うんうん、いろいろ思い出してきた気がする。
生命保険料控除や損害保険料控除は支払った保険料の合計額に応じた金額が控除されるの。計算式があるからそれを使って計算すればいいのよ。でも、生命保険料控除は最高で10万円、損害保険料控除は最高で1万5千円と決まっているわ。
保険料控除は、確か保険会社から送られてくる書類を添付するんだよね?
保険料控除証明書のことね。ひとみはきちんと保管しているわよね。年末調整のときもそうなんだけど、保険料控除証明書をうっかり無くしてしまう人って結構多いのよ。
私は大丈夫だよ。毎年やってるから無くしたりしないよ。
そうね。あとは医療費控除ね。昨年1年間の間に家族で支払った医療費の合計は10万円を超えているかしら?
うーん……そんなにはかかっていないと思うよ。確か、ゆかりが捻挫して接骨院に通ったのと、私が風邪をひいて内科に通ったくらいだし。我が家はみんな健康だからね。
健康でいられるのは良いことじゃない。それじゃあ、医療費控除は無いわね。
うん。でも、1年間で10万円超える事ってそうそうないんじゃないの?
そんな事ないわよ。扶養家族がたくさんいたり、家族の誰かが入院して個室に入ったりしたら、あっという間に10万円は超えてしまうわ。
へえ、そうなんだ。我が家はみんな入院したことないからなあ。入院費もばかにならないね。
そうよ。そんなときの為に、医療保険が必要なのよ。医療費控除についてはコラム第14回「年末調整」を見てね。
控除もいろいろあるんだね。
それぞれの控除額が計算できたら確定申告書に記入して、今度は所得金額から控除額を差し引くのよ。そうすると課税される所得金額が出てくるわ。その金額に応じて税率を掛けると課税される所得金額に対する税額が出てくるわ。
それで終わりだっけ?
まだあるわよ。住宅ローンの借り入れがある人はここから住宅借入金特別控除を差し引くことが出来るのよ。その後に今話題になっている定率減税額を計算して控除し、納めてある所得税額があれば差し引いて、ようやく申告納税額が決定するわよ。
何だかこのなんとか控除とかがチンプンカンプンなのよね。
他には災害により住宅や家財が損害を被った場合などは税金の減免を受けられるわ。確定申告でおさえておいた方がいい事はこんなところかしら。
ありがと、たま姉。これでなんとかなりそうな気がしてきた。
ところで昨年のかずおさんの収入はどうだったの?
一昨年よりはちょっと増えたくらいだよ。だから今年は納める税金が気持ち多くなるんじゃないかな?
所得金額が高くなると、同時に住民税や、国民健康保険料も高くなるから大変になるわね。
えー、国民健康保険料もなの?税金以外でも負担はやっぱり増えるのね。
まあ、それは仕方ないわね。一気に説明したから何だか疲れちゃったわ。ちょっとお茶にしましょう。ひとみは時間あるんでしょ?
あると言えばあるけど……その分、昼寝の時間が減っちゃうかなー、なんてね。
もう、いい大人が何言ってるのよ。夜しっかり寝ているなら昼寝なんて必要ないでしょ!子供じゃあるまいし、ゆかりちゃんに示しがつかないでしょ。
はーい、わかりましたよー。じゃあ、お茶飲んだら帰るね。買い物もあるし、今度は書類を持って来るから細かい事教えてね。
わかったわ。でも私もこの時期忙しいから電話してから来てくれると助かるわ。
オッケー。それより、早くお茶にしようよ、たま姉。喉渇いちゃったよ。
はいはい、わかったわよ。